トイレットトレーニングの進め方【育児に役立つ心理学】

こんにちは、臨床心理士/公認心理師の八木経弥です。

本連載では育児に役立つ心理学をいろいろと取り上げていますので、育児中の方はぜひご覧ください。今回は、頭を抱えていらっしゃる親御さんも多いのではないかと思われるトイレットトレーニングについてお話したいと思います。

トイレットトレーニングはいつから始めるのが良い?

これは、世のママたちがみんな頭を悩ませる問題なのではないでしょうか。

「子ども自身がオムツを卒業する時期を決めるのが良い」という方も多い一方で、「早ければ9ヶ月になった時点で、毎日定期的に子どもをオマルに座らせるのがベスト」と言う人もいるようです。私の周りだと、2歳の夏頃から意識し始めるママが多いように思います。

このトイレットトレーニングを始める時期の見極め方ですが、以下の項目がクリアできているかどうかがひとつの指標です。

・おしっこの間隔が2時間以上あく
・大人の問いかけに「いや」「はい」など簡単な受け答えができる。
・便座やオマルにしっかりと座ることができる。
・「抱っこして」「ちょうだい」など、自分の気持ちを伝えることができる。
・トイレ(オマル)まで歩いて行くことができる。

これらは子どもの準備ですが、大人にも準備が必要です。

・トイレットトレーニングにじっくり付き合う時間的・精神的余裕がある
・子どもとの関係が安定している(イヤイヤ期に入ったばかりであったり、ママの産前産後2ヶ月は避けるのが無難)

季節的には、薄着になり洗濯物が乾きやすい春から夏が良いとされます。この時期は汗をかく分おしっこの回数も減るので、トイレットトレーニングに向いている時期です。

しかし、冬にトイレットトレーニングをしてはいけないということはなく、お子さんとママやパパの「やれるかも!」「やるぞ!」というタイミングが来たのであれば、もちろん冬にスタートしても構いません。

トイレの存在を知ってもらう

まずは、「おしっこやうんちはトイレでするもの」だと知ってもらうことから始めます。

ご家族の方がトイレに行って用を足すのを見せるのが一番わかりやすいですが、抵抗がある方は絵本やテレビなどで、トイレに関するものを見せるのも良いでしょう。

STEP
1

いずれオムツを卒業するということを伝える

予め、「いついつまでにオムツにバイバイして、トイレでおしっこやうんちをするようにするよ」と子どもに伝えましょう。そうすることで、いずれはオムツを卒業するんだな、と心の準備をすることができます。

STEP
2

便座に座ってみる

次は、実際に便座に座ってみましょう。

オマルを利用するか、補助便座にするかについては、それぞれのメリット・デメリットがあるので、ご家族の方の負担や、本人の抵抗が少ない方で良いと思います。

オマル

メリット
足がしっかり着くので、姿勢が安定しやすい。トイレという狭い空間に対する抵抗感がない。

デメリット
使用するたびに掃除をする必要がある。オマルでできるようになった後、トイレで用を足す練習をする必要がある。

補助便座

メリット
「トイレで用を足す」ことを覚えるので、お尻を拭くことや水を流すことまでセットで覚えることができる。リビングでオマル→トイレで補助便座を使う、という2段階でのトイレットトレーニングが不要。

デメリット
踏み台などを準備しないと、足元がフラフラして不安定なため、不安感を抱く可能性がある。トイレの個室、という狭い空間に対する不安感、落ち着かなさがあるかもしれない。

STEP
3

タイミングを見て、1日に何度かトイレに誘う

食事の前後やお風呂の前、お昼寝の前後など、何かをするタイミングでトイレに誘ってみましょう。

そして、そのタイミングでおしっこやうんちが出たら、「気持ち良いね」「おしっこ(うんち)出たね」と一緒に喜んであげてください。

STEP
4

自分から「トイレ」「おしっこ」と言う

徐々におしっこが出る感覚、出そうな感覚がわかるようになってくると、今度は自分から教えてくれるようになります。ここまでくると、トイトレ完了は目の前です。

オムツからパンツに切り替えるタイミングですが、特に焦る必要がなければ、STEP5の、自分で予告をしてくれるようになってからの方が、床などにお漏らしすることが少ないので、おうちの方の負担は少ないように思います。

しかし、短期集中でトイレットトレーニングを終えたい場合は、STEP3と同時期にパンツに変えると、おしっこで濡れる感覚を覚えてくれるので早くトイレットトレーニングを終えられる場合があります。

STEP
5

うんちは子どもの宝物

精神分析学の創始者として知られるフロイトは、子どもの発達段階を以下の5段階に分けています。

子どもの発達段階(フロイト)

  • 口唇期
  • 肛門期
  • 男根期
  • 潜伏期
  • 性器期

この発達段階についての詳しい説明はしませんが、ふたつ目の「肛門期」というのは、「自分の意思でうんちを出すことができる!」という快感を得る時期のことです。

ひとつ目の「口唇期」も、口からおっぱいを飲む、ミルクを飲む、ご飯を食べることが快感ではあるわけですが、これは自分の意思というよりは、母親や周囲の養育者によって与えられるものです。自分の意思でコントロールして快感を得るというのは「肛門期」になってから。子どもにとってうんちやおしっこといった排泄が初めてなのです。

さて、そんな「肛門期」。自分に快感を与えてくれるうんちが単なる排泄物であるわけがありません。子どもにとっては宝物です。だからこそ、ママやパパにはうんちを粗末には扱ってもらいたくないのです。

まだオムツの外れていない子も、オムツの中にうんちをしたら、「いいうんちだね!」「元気なうんちだね!」と褒めてあげてください。トイレでうんちができたら、「元気なバナナうんちだよ!」と一緒に喜んであげてください。

うんちは子どもにとって宝物であり、誇りでもあります。そのうんちを褒めてもらうことで、子どもはまるで自分自身を褒めてもらったような、誇らしさを抱くことができます。そしてそれは子どもの自信につながります。

トイレ以外でおしっこやうんちを漏らしたら

トイレットトレーニングを開始すると、お漏らしは避けて通れません。子どもがお漏らしをすると、服を脱がせて、体を拭いて、床を拭いて、消毒して。そこがフローリングの床ならまだ良いですが、絨毯やソファの上だったら大変ですよね。

それでは、子どもがおもらしをしてしまった場合、どのような声がけをしたらよいのでしょうか。事例を基に考えていきましょう。

事例

ソファに座ってテレビを見ているときに子どもがおしっこを漏らし、子どもは「おしっこ出ちゃった」と教えてくれました。そんなとき、あなたはどのような声かけをしますか?以下から選んでみましょう。

  1. 「あらあら、おしっこ出たねぇ」と状況を説明する
  2. 「おしっこが出てスッキリしたね」と気持ちを代弁する
  3. 「おしっこをパンツにすると、びしょびしょになって気持ちわるいね」と気持ちわるいことを代弁する
  4. 「おしっこが出たことを教えてくれてありがとう」とお礼を言う
  5. 無言で淡々と後始末をする
  6. 「なんでおしっこ出るって言わないの!」と怒鳴る
  7. 「あぁ、もう汚いなぁ」と吐き捨てる

①あらあら、おしっこ出たねぇ

このケースは状況を説明しているだけなので、問題ないでしょう。

②おしっこが出てスッキリしたね

③おしっこをパンツにすると、びしょびしょになって気持ちわるいね

④おしっこが出たことを教えてくれてありがとう

子どもの状況、感覚を代弁しているので、子どもからすると「共感してもらえている」と感じることができるのではないでしょうか。この状況で④を言えるママは多くないかと思いますが、言えたら理想的でしょう。おしっこをするとスッキリするという感覚、しかし、パンツがおしっこでびしょびしょになると気持ちが悪いということをママが言語化することで、徐々に子どもは“トイレでおしっこをすると、スッキリするし、パンツも濡れないから気持ち良い”と覚えることができます。

⑤……。

⑥なんでおしっこ出るって言わないの!

⑦あぁ、もう汚いなぁ

⑤は、表情によっては子ども不安が不安を抱くので注意が必要です。⑥は、なかなかできないことをしろと言われて、戸惑っている子どもにとっては負担になってしまいます。⑦も、子どもは自分自身を否定されたと感じてしまう可能性があるため、おしっこが出ること自体を怖いと感じるようになるかもしれません。

トイレットトレーニングは精神的にかなり負担ですので、イライラすることもあるでしょう。ですが、子どもは怒られることで余計にトイレットトレーニングが嫌になってしまったり、拒否感が生まれたり、時には便秘になってしまいます。

イライラしてしまったら、とりあえず10秒心の中で数えて気持ちを落ち着けましょう。そして、「うんちが出てスッキリしたね」と声をかけたり、「トイレでうんちができたら、お尻にうんちがつかないからもっと気持ち良いよ」と教えてあげましょう。

おしっこについても同様に、トイレでおしっこができたら一緒に喜びましょう。そしてトイレの外に漏らしてしまったら、「漏れると気持ち悪いねぇ」と声をかけられると良いですね。「トイレの中におしっこができると、脚も汚れないし、パンツも濡れないし、とっても気持ち良い」ということを地道に伝えていけるのが理想的です。

いずれにせよ、お漏らしというのは「オムツの外におしっこができた」という状態なので、トレーニングとしては、しっかり次のステップに進んでいる証拠です。もちろんママも人間なので、お漏らしが続くとイライラします。そういう時は、無理をせず少しおやすみしましょう。

一度トレーニングを始めたのに、お休みをして振り出しに戻るのが怖いという方は、パンツの中にこっそり布オムツを仕込むと良いかもしれません。そうすると、おしっこが出て濡れたことはわかるけれど、床までの被害は少なくてすみます。布オムツも、今は性能が良いものも多く、かさばらず吸水率の良いものが売られていますよ。

まとめ

オムツは必ず取れる日がきます。他のお子さんと比べたりして、ヤキモキされているママもきっといらっしゃると思いますが大丈夫です。「結局は本人のやる気次第だった」という声もたくさん聞きます。我が家も、仲良しのお友達がお姉さんパンツになったと知って、その日から急にオムツを止めました。その後もたくさん漏らしましたが、それまでに比べると、ものすごいスピードでトレーニングが進みました。まずはお子さんがトイレで排泄をしたくなるような声かけを意識していただければと思います。

この記事の著者

八木 経弥(やぎ えみ)

臨床心理士/公認心理師。心療内科での心理検査や心理カウンセリング、児童相談所の判定業務や教育委員会での教育相談等を経験してきました。 現在、3歳と1歳の娘の育児に格闘しながら、改めて子どもの発達について復習させてもらっています。