カウンセリングとは(カウンセリングの内容・施設の探し方・期間・料金)

皆さん、こんにちは。臨床心理士/公認心理師の川村啓和です。

近年、カウンセリングという言葉自体は一般の方にも知られるようになりましたが、実際にカウンセリングルームの中でどのようなやりとりが行われているのかについては未知な部分が多いと思います。

本稿では、どのような困りごとがある時に相談できるのか、どうしたら利用できるのか、どれくらいの期間や料金がかかるのかなど、カウンセリングの利用を考えている方にぜひ知っておいてほしいことをお伝えしていきます。

カウンセリングって何?

カウンセリングは悩みを抱える人がその解決のために受けるもので、多くは医療機関(精神科・心療内科など)やカウンセリングセンターといった相談機関で行われています。カウンセラーは主に臨床心理士や公認心理師といった心理職の資格を持つ専門職です。

相談に来られる方の悩みの種類は様々で、仕事や学業での悩み、不安や抑うつ、恋人や家族間の対人関係など多岐にわたります。

一般的に、カウンセリングは心理的な問題や自己啓発を目的とした相談には向いていますが、現実的な被害を受けたときや法律が関わるような場合は弁護士・警察に、経済的に困窮しているなど金銭的な問題は行政(市役所など)の福祉を担当する窓口に相談すると良いでしょう。

カウンセリングって、どんなことをしているの?

初回のカウンセリング(インテーク面接)

初回のカウンセリングでは、相談者がどのような悩みや問題を抱えているのか聞き取りをしたり、現在の状況について聞かれたりする場合があります。

問診票が用意されている所では、まずその記入を行います。問診票には相談したい内容(主訴)や既往歴、通院歴、家族構成などを書くものが一般的です。その問診票を元に、成育歴、現在の生活の様子、カウンセリングに求めることなどを中心に聞き取りを行います。

初回カウンセリングでは情報をできるだけ多く知ることが大切なので、詳細を知る付き添い人が同席したり、別でお話を伺うこともあります。時間は60~90分と、以後のカウンセリングよりも長めに設定している場合が多いです。簡単な心理面の健康度チェックを行うこともあります。

この初回のカウンセリングの聞き取りにより、今後どのような形で話し合いを進めていくか、方針が決まります。

2回目以降のカウンセリング

継続して相談したい場合、1週間~1か月に1回程度、定期的にカウンセリングの場を設け、問題について話し合うことになります。

カウンセリングというと、相談者の悩みや課題についてカウンセラーがアドバイスや解決策を示すというイメージがあるかもしれませんが、基本的には、相談者が話すことをカウンセラーが傾聴するという形です。これは、悩みや解決への答えは自分の中にあり、自分で見出していくものだという考えがあるためです。なお、カウンセリングには様々なスタイルがありますので、詳しくは、下記の「カウンセリングの種類」をご参照ください。

また、2回目以降のカウンセリング時間は30~60分程度と施設によって異なります。ホームページやパンフレット等でご確認ください。

カウンセリングでしていること
初回のカウンセリングでは、悩みごとや現在の状況について聞かれ、今後のカウンセリングの方針を決めます。2回目以降はこの方針に基づき、話し合いを行います。カウンセラーが一方的に解決方法を話すのではなく、相談者自身が話しながら解決方法を探すという、傾聴を基本にしたカウンセリングスタイルが一般的です。

カウンセリングの種類

現在のカウンセリングは特定の技法を単独で行うことは少なく、相談者に合わせ、各技法の良いところを組み合わせるのが一般的です。最近では認知行動療法を専門に行う相談機関もありますが、そうでない場合はどの技法を重視しているかによってカウンセラーのスタイルに差が出てきます。特定のカウンセリング技法を希望する場合、その技法に対応しているか予め確認しておきましょう。

主なカウンセリングの種類

来談者中心療法
現在日本で普及しているカウンセリングは一般的にこの療法が基礎となっています。クライエントの話すことに耳を傾け、話した言葉や内容をまとめて、それを伝え返すというのが基本的な姿勢です。そのことによって主訴や問題について新しい認識や気づきをもたらし、自己理解を促すことを目的としています。

精神分析
クライエントの無意識にある感情や思考を分析し明らかにすることによって、症状を治すことを意図したカウンセリングです。クライエントが見た夢の内容を分析して、治療に役立てることもあります。夢は無意識の内容をよく反映したものとされるからです。「無意識」という言葉は元々この精神分析から生まれた言葉です。

認知行動療法(CBT)
行動や物事の捉えかた(認知)に働きかけていくカウンセリングです。認知行動療法は鬱やパニックの治療に有効であるとされ、カウンセリングだけでなくダイエットや痛みの治療など多方面に渡って注目されています。また他の技法よりも方法論(マニュアル)が確立しているため、クライエントが取り組むべきことがわかりやすいという特徴があります。CBTは別のコラムで詳細を説明しておりますので、ぜひそちらも参考にしてください。

さて色々種類があるのはわかったけれど、「どれが一番効果があるの?」という疑問が出てくるかもしれません。今のところ分かっているのは、自分が好むものを受けた方がそうでないものを受けた方が効果が高いということだそうです1)

またカウンセリングがうまくいくかはカウンセラーの技量ももちろん重要ですが、相性やフィーリングに因る部分もあります。カウンセラーが複数いる機関であれば希望を伝えて自分にある人を選ぶことも可能でしょう。単純に「優しそうだから」という理由で女性を選ぶといったこともあります。「この人とは合わないかな」と感じて変更を希望する場合も、可能な範囲で対応してもらえるでしょう。

1)『The impact of accommodating client preference in psychotherapy: A meta-analysis』

カウンセリングの種類
現在では相談者に合わせて様々な技法を組み合わせて用いることが多いので、あまり気にしなくてもよいでしょう。特定の技法を希望しているのであれば、それができるカウンセリング機関を探しましょう。

カウンセリングの期間

心理的な問題は、ケガや身体の病気のようにどのくらい治療を続ければ治るかということがはっきりしていません。そのため予め期間を設定するというのは基本的に難しいものです。

では何を基準に終結とするのでしょうか。1つの区切りとして、当初の相談したい内容が解決した時が挙げられます。期間にすると、週に1回カウンセリングを受けたとして、短くて6ヵ月、状態の安定までを考えると数年間を見込むこともあるでしょう。カウンセリングの種類によっては最初から10回や20回と回数を設定して行うものもあります。その回数の範囲内で、可能な限り主訴の緩和や症状の軽減を目指すのです。またカウンセリングは自己啓発的な側面もあるので、期間を設定せずライフワークとして十年以上継続するといった場合もあります。

カウンセリングの期間
カウンセリングのスタイルや相談テーマによっても変わりますが、相談したい内容が解決したかどうかを目安に、6か月~数年かかる場合が多いです。

オンラインカウンセリングについて

最近ではZoomなどのビデオコミュニケーションツールが普及し、オンラインでのカウンセリングが手軽に行えるようになりました。

メリットは、移動をする必要がないためその時間や費用をカットできることです。また不安など症状から外に出ることが難しいという人でも、この方法であればカウンセリングを受けることが可能です。一方デメリットは、若干ですがやりとりにタイムラグが生じることで、話がスムーズに進まないことがあります。これはカウンセリングにおいては非常に重要なことです。また、やはり実際に対面する方が相互の信頼関係を築きやすいため、そのことが治療の進展に影響するのではないか考えられます。

オンラインカウンセリングについて
メリット・デメリットを比較して利用を考えてみましょう。

カウンセリング機関の探し方

まずはカウンセリングを専門で行っている機関を利用するのが一番の近道です。カウンセラーを複数抱える所もありますが、個人でカウンセリングを行っている人もいます。インターネットで調べる際にはtwitterなどSNS上で検索するのも有効です。

また心療内科や精神科などの医療機関でもカウンセリングを行っているところがありますので、問い合わせて確認するのが良いでしょう。医療機関でカウンセリングを受ける場合、原則医師の診察も平行して受けることが必要ですので、注意してください。

予約の方法は、現在は電話だけでなくオンラインで対応可能というところも少なくないと思います。またキャンセルですが、これも機関によって費用が発生するところもありますので、その料金や何日前から発生するのか最初の段階で確認しておくようにしましょう。

カウンセリング機関の探し方
インターネット検索やSNSでカウンセリング機関を検索してみましょう。心療内科や精神科を受診している方(受診を希望している方)は、その施設でカウンセリングが受けられるか確認してみましょう。

料金

料金は病院や機関によって様々です。カウンセリングを行っている病院でも、健康保険ではなく自費診療であることが多く、各機関によって自由に設定できるためです。そのためその他のサービス業と同じように、ネームバリューや立地・利便性などの条件によってその料金が異なるのです。

例えば、1回50分で5000円という所もあれば、1万円以上という場合もあります。予約を入れる前に、インターネット等でいくつかのカウンセリング機関の料金を調べ、その近辺の相場価格を知っておくとよいでしょう。

料金
施設の形態(病院・カウンセリングルーム等)、担当カウンセラー、立地、オンライン・対面などにより料金は異なります。インターネット等で自分の希望条件の相場を調べてから予約すると良いでしょう。

カウンセリングに関するQ&A

医療機関に通院中でカウンセリングを受けたいのですが、どうしたらいいですか?

通院している機関でカウンセリングを行っている場合は、医師にその希望を伝えてみてください。通院中の機関でカウンセリングを行っていない場合は、提携しているカウンセリング機関があるかを尋ねてみるとよいでしょう。疾患や状態によってはカウンセリングが適さない場合もありますので、医師とよく相談することが大切です。

カウンセリングを止めたいのですが、どうしたらいいですか?

クライエントが止めたいという意思があった場合に、基本的にカウンセラーがそれを拒むことはないと思います。止めたいという旨を伝えてみてください。申し訳なく感じて直接伝えることが難しい場合は、受付など別のスタッフに伝えるという方法でもよいと思います。医療機関では、医師が治療上の観点から続けた方が良いと言うことがあります。その場合はカウンセラーとの間だけで決めるのではなく、医師との話し合いが必要になります。

家族(配偶者や子ども)やパートナーにカウンセリングを受けてもらいたい時

自分の家族やパートナーにカウンセリングを受けてほしいと思って、本人に知らせずに予約をしてしまうことはしばしばあります。しかしカウンセリングは本人の「受けたい」という意思が大切なので、仮に受けることになっても望ましい効果は得られないでしょう。そのため本人の考えを聞き、その思いを尊重しつつ、どうして受けてもらいたいのかを丁寧に説明することが適切な方法です。

まとめ

カウンセリングと聞いてよくイメージされるものとして、「癒し」という言葉が出てくると思います。例えば鬱のように心が疲れているクライエントに対し、それまでの頑張りを労い、辛さに共感していくというプロセスは、その人にとって癒しとなるでしょう。

しかし、カウンセリングはただ「癒し」をもたらすだけのものではありません。自分のことをカウンセラーに話していくなかで、ときに自分の弱さや、抑圧していた辛い経験と向き合わざるを得ない場面があります。それは「癒し」とは対局で、乗り越えるのにとてもエネルギーを要することです。しかしその経験によって心の強さを身につけていくのです。

カウンセリングを通じて得られた変化は、症状がなくなったというよりも、人間的に成長したという形で実感されることも少なくありません。人としての成長が、結果として症状の治癒、そしてその人の持っている可能性を十分に発揮することにつながるのです。

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この記事の著者

川村啓和(かわむら ひろかず)

臨床心理士・公認心理士
ココロト オンラインカウンセラー
ココロト メールカウンセラー

これまで主に京都や大阪の医療機関で勤務し、一般的な精神疾患だけでなく、大人の発達障害や認知症など様々な疾患を持つ方のセラピーや支援に携わる。現在はリハビリ/脳神経外科のクリニックで、高次脳機能障害や認知症をもつ方やその家族の支援に従事。慢性疼痛など身体疾患を持つ方を対象とした認知行動療法等の経験もある。