彼氏にイライラする!怒りの原因とコントロール方法【女性のための恋愛相談室】

みなさん、こんにちは。公認心理師/臨床心理士の津金由美子です。

彼と付き合って関係を深めていけば、時に相手に対してイラっとすること、ありますよね。こちらがイライラしているのにも関わらず、相手は気づかない。我慢の限界を超えて怒ったのに伝わっていない。この人には何を言っても無駄なの?なんでこんなに腹が立つの…?

このような時、どのように対処したらよいのでしょうか?今回はこのようなイライラ・怒りをテーマに、恋愛を上手く乗り切る考え方をお伝えします。なお、本稿は「女性のための恋愛相談室」ではありますが、男性が読んでも怒りのコントロールに役立つと思います。興味がありましたら、ぜひ読んでいただければと思います。

なぜ私たちはイライラするの?

そもそも、なぜ私たちはイライラし、怒るのでしょうか。

怒りの感情が起きる時、その多くは「自分と相手の価値観がズレている時」です。

普通はオシャレなカフェでデートするでしょ。なにこのフードコート🙄

デートに彼が着てきた服がヨレヨレ。デートなのにオシャレに気もつかわないつもり?!😡

いやいや、仕事終わりに立ち飲みって!サラリーマンに交じって乾杯😭

このように感じたことはありませんか?

これは、フードコート自体が悪いわけでも、立ち飲み屋自体が悪いわけでもありません。「デートなら普通○○」「デートなのに〇〇なんて(あり得ない)」という自分の価値観から外れているため、怒りの感情が起きるのです。

連絡の頻度、会う頻度、デートの場所、趣味、見た目など、人は自分の思う「普通」や「~するべき」という価値観があります。この価値観から外れた人を見ると、怒りを感じやすいのです。


そうはいっても、彼と価値観がズレていることはいくらでもあると思います。

例えばお風呂で体を洗い始める部位とか、アイスクリームをスプーンで食べるかどうかなど…。しかし、なぜこれが気にならないかというと、それは自分の許せること(許容範囲)だからです。人は許せることと許せないことの間に「仕方ない」「まあいいか」といった許容範囲があります。

いつもたばこの匂いがするな…

シャツに穴空いてるのにずっと着てる…

バイキングへ行くとずっとお米食べてる…

あなたと彼は育ってきた環境が違うので、価値観もズレていて当たり前。それでも「まあ自分はしないけど、そういうこともあるか」と許せることが許容範囲です。許容範囲も人それぞれ違います。ちなみに私はいつもたばこの匂いがする恋人は許容できません。でも、たばこの匂いが気にならない人もいますよね。

人は自分の価値観から外れたり、許せない価値観に出会ったときに「怒り・イライラ」を感じるのです。


それでは、この価値観のズレを少なくしたり、許容範囲を広げることはできるのでしょうか。あなたの価値観を変化させれば可能です。心理学の業界では、これを認知の変容と言います。

 ○○するべき → ○○した方がいい
 普通○○~ → 私の中では○○
 あり得ない → 彼にとってはあり得る

価値観とは、あくまでも「私にとって○○」ということです。自分の感覚が正しいという気持ちを少し脇に置いて、「彼にとってはどうかな?」と視点を変えてみてください

怒りのコントロール方法

あなたが自分の価値観を柔軟にして彼と合わせようと頑張っても、許容できないことはあるでしょう。イライラして怒りを感じることもあるでしょう。

それでは怒りの気持ちは持ってはいけないのでしょうか?怒りは我慢しなければいけないのでしょうか?そんなことはありません。怒りとは人間に必要な感情です。しかし、コントロールが必要な感情でもあります。

そこで、著者がお勧めする怒りのコントロール方法をお伝えします。

怒りのコントロール方法

①怒りの奥に隠された気持ちに気づき、表現する
②相手にしてほしいことを言葉で伝える
③とっさの怒りに反応しない

1つずつ見ていきましょう。

①怒りの奥に隠された気持ちに気づき、表現する

怒りは「許せない→怒り😡」という反応と思われがちですが、その間に別の感情が隠されています。具体的に例を挙げて説明します。

例1:休日に連絡が来なかった→寂しい→腹立つ
例2:結婚の話が一切されない→将来の不安→イライラ
例3:デートなのに立ち飲み→私のことを考えてくれない悲しさ→怒り

このように、怒りという感情は別の感情を通して起こります。心理学では、この発端となる感情を「1次感情」、そこから沸き起こる怒りを「2次感情」と呼びます。怒りのコントロールには、この1次感情に気づくことが重要です。「なぜ私は怒っているのか?」に、自分の答えを見つけるのです。

いやいや、だって彼氏が!!!!

分かります。あなたは彼の行動に腹を立てているのですよね。それでは、彼の行動に対してあなたがどんな気持ちになり、腹が立ったのかを考えてみましょう。そしてその気持ちに名前を付けます

先ほどの例1のパターンで考えてみましょう。

例1:休日に連絡が来なかった → 彼の行動に対してどんな気持ちになり、腹が立ったのでしょうか?
・彼が私をないがしろにしている気がして、私は悲しい気持ちになった。
・彼の愛情を感じられなくて、私は寂しい気持ちになった

これが1次感情です。そして、あなたにとってより正確な感情と言えます。

あなたが怒りを感じたとき、そのまま怒りの感情を表現しても、「よく分からないけど怒っているから謝ろう🙄」となったり、ケンカになったり、関係がこじれてしまったり、あまりよい結果を得ることはできないでしょう。

休日なのに、どうして連絡しないのよ!腹立つ!

しかし、自分自身が何に腹を立てているのか、何に傷ついているのか(1次感情)が分かると、それを適切な言葉で表現することができます。

あなたが私のことをないがしろにしている気がして、私は悲しいし、寂しいよ。

怒りをそのままぶつけるのではなく、その奥に隠された気持ち(1次感情)を表現すれば、より相手に伝わります。しかし、怒りのコントロールは1次感情を伝えるだけでなく、別の方法もあります。それが次の項目「②相手にしてほしいことを言葉で伝える」です。

②相手にしてほしいことを言葉で伝える

精神科医アドラーは「人の思考や行動には目的が存在する」と述べています。怒りとは、「怒ることにより、その場をコントロール」する行為と言えます。自分の要求を通すために怒ったり、イライラを態度に出すことで相手に不快感を伝え、結果相手の行動を変えようとしたり…。しかし、そんなことを続ければ相手の気持ちがよくなるはずがありません。

それではどうしたらよいのでしょう。それは、相手にしてほしいことを言葉で率直に伝えることです。冒頭で挙げた例で見てみましょう。

普通はオシャレなカフェでデートするでしょ。なにこのフードコート🙄

デートはおしゃれなカフェでするもんでしょ、という自分の価値観とズレているから腹が立つわけです。もしかしたら彼は「フードコートは広々としていてソーシャルディスタンスが取れそう!」と思っているかもしれません。それでは、あなたがしてほしいことを伝えてみましょう。

フードコートよりも、ゆっくりできるカフェの方が好きだな。どう?

彼があなたの意思を尊重してカフェにしてくれれば、それでよいでしょう。もし、頑なにフードコートを推してくるのであれば、次はあなたがそれを許容したいかどうか。まあ許容してもいいな、と思えるのであれば、今日はフードコートと決めましょう。もし今後フードコートは嫌だ!と思うなら、後日は必ずお店を提案することであなたの価値観を提案してみましょう(その人と後日があるならですが)。


別の例も見てみましょう。

デートに彼が着てきた服がヨレヨレ。デートなのにオシャレに気もつかわないつもり?!😡

デートの時はパリッとした服じゃないと相手に失礼でしょ、というあなたの価値観とズレているのではないでしょうか。悲しいかな、もしかしたら彼は彼なりにおしゃれをした結果かもしれません。だからと言って彼の価値観を受け入れなければならないわけではないので、まずはあなたがしてほしいことを伝えてみましょう。

こういう服の方が似合うと思うな

あるいは…

ごめんね、私はもう少しきれいな服の方が好みだな

恋愛は価値観の擦り合わせの連続です。あなたの発言を聞いて彼がどうするか観察しましょう。それでも頑なにヨレヨレの服を着続けるのであれば、そしてきれいな服を着てもらうことがあなたにとって重要なのであれば、伝え続ける必要があります。あなたに好かれたいと考えている男性なら、なんとかして服装を変えようとするでしょう。

※ おしゃれを気にしない男性は、きれいやおしゃれの定義がわからない可能性があるので彼の価値観をヒアリングしてリードした方がいい場合もあります。


また別の例も見てみましょう。

いやいや、仕事終わりに立ち飲みって!サラリーマンに交じって乾杯😭

あなたは仕事で疲れている時は座ってゆっくり飲みたいと思っているけれど、彼はもしかすると「疲れた時は活気あふれるところへ行くと、つられて元気になるかも」と考えているかもしれません。まずはあなたの希望を伝えてみましょう。

お店選んでくれてありがと!でも今日仕事で足がくたくただから、座って飲めるところの方がいいな!

お店を選んでくれたという点は感謝をし、その後自分の希望を伝えてみましょう。「じゃあ座って飲めるとこ行こう!」となるはずです。彼がそれでも立ち飲みを推してくるのであれば、30分だけ付き合って「私足疲れてるし、今日はもう帰るね♪」とさらっと帰ってくればよいのです。

3つの例を取り上げましたが、怒ることで相手をコントロールするのではなく、あなたがしてほしいこと・望むことを率直に伝える感覚が伝わったでしょうか?ただし、あなたの許容範囲に限りがあるように、彼にも許容範囲にも限りあることも覚えておきましょう。

③とっさの怒りに反応しない

そうはいっても、「はああああ?!」と手に負えない怒りがこみ上げる時もありますよね。二人の関係を壊さないためにも、そのようなとっさの怒りが出てきた時に、衝動的に反応しないことが必要です。

衝動的な怒りは6秒がピーク」と言われ、6秒間を乗り越えれば不適切な怒りをぶつけずに済むという考え方があります。下記にいくつかの例を挙げますので、ご自身がしっくりくる方法を試してみてください。

6秒間の衝動的な怒りを乗り越える方法

・1から6まで数を数えて深呼吸する、もしくは6から1へ逆に数える。
・魔法の言葉を唱える
 「面白いことが起きたな(本当に面白いと思っていなくていい)」
 「この出来事ネタにしてしまおう(本当にネタにしなくていい)」
・一言断ってその場を離れる(トイレへ行く、部屋から離れる等)

まとめ

本稿では恋愛場面での怒りにテーマをあて、怒りのコントロール方法についてお伝えしました。あなたが彼とよりよい関係を築く一助になれば幸いです。また、1人で怒りをコントロールするのが難しいのであれば、カウンセラーに頼るのも1つの方法です。著者もココロトでもオンラインカウンセリング・メールカウンセリングで相談を受け付けていますので、ぜひご活用ください。

著者プロフィール

津金 由美子(つがね ゆみこ)

公認心理師・ 臨床心理士
ココロト オンラインカウンセラー
ココロト メールカウンセラー

心理系大学院卒業後、精神科・心療内科でのカウンセリング・リワーク(復職支援)、市役所での電話相談員、職業訓練校や各種セミナーの講師、就労移行支援等に携わる。業務では就職・就労、働き方についての相談業務をメインとする一方、個人向けの恋愛・結婚/婚活相談等も行っており、特に20~30代の女性からの相談を多く受けている。カウンセリングスタイルは相談者によって柔軟に対応し、認知行動療法やアドラー心理学、問題解決療法を得意とする。