シミ・シワ・髪のボリューム- 肌と髪の美容トラブルを解消しよう

6回のシリーズで連載中のコラム「私の体と心を知ってもっと、キレイになろう」です。ご自身の体と心を理解して、「もっと私らしく」になっていただければ幸いです。第4回のテーマは「美容のトラブル解消をしよう」です。専門的な立場から、トラブルについて解説します。

シミが気になる

このような症状がないかチェック!
・薄かったシミがだんだん濃くなっていく
・シミが目立つ
・日焼けには気をつけているのにシミが増える

シミの原因といえば紫外線がまずあげられますが、それは紫外線を浴びると、肌を守ろうとしてメラノサイトが活性化し、メラニン色素がつくられてしまいます。通常、新陳代謝(ターンオーバー)によって皮膚が再生されると、垢(アカ)といっしょに出ていってくれます。

しかし、肌の老化などで新陳代謝が悪くなると、メラニン色素が肌に残り、それがシミになるわけです。ただし、紫外線だけがシミの原因ではありません。肌の老化を促す乾燥も、シミのもととなります。また、女性ホルモンの影響も大きく、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の乱れは、メラノサイトを刺激して、シミの原因となります。

シミが気になる時のセルフケア

1.日焼け止め等で、紫外線から肌を守る

シミ対策の基本は紫外線から肌を守ることです。ガラス越しでも、曇りの日でも紫外線は降り注いでいます。季節、天気、室内外を問わず、日焼け止めを使用し、紫外線を浴びない生活を心がけましょう。

日焼け止めの塗り方ポイントとしては、2~3時間おきに塗り、すり込まないようにし、そっと置くように塗っていきましょう。


2.食べ物で、皮膚の新陳代謝をアップさせる

ビタミンCは色素還元作用があり、ビタミンEには細胞の酸化を防ぐ働きがあります。これらの食事を意識して摂るようにしましょう。皮膚の新陳代謝をアップさせましょう。ただしビタミンCを多く含む キウイ、パセリ、セロリ、そば、野沢菜などの食材には、光の吸収を増幅して日光に当たるとシミをつくる「ソラレン」という物質が含まれています。ですから、日焼けをする前に摂取しないこと。朝は避けて、夜食べることをおススメします。


3.肌の乾燥を防ぐ

本来のバリア機能をアップさせることも大切です。重要なことは、肌の乾燥を防ぐことです。まずは毎日の洗顔から見直していきましょう。皮脂をとりすぎない保湿を最優先に考えた洗顔方法をおすすめします。その後は、化粧水で保湿を心掛けましょう。

シワが目立ってきた

このような症状がないかチェック!
・乾燥すると口元にシワができる
・笑うとシワが目立つようになった気がする
・目の下に細かいシワがたくさんできる

シワは、肌の弾力がなくなって皮膚が落ち込み、元に戻らなくなることでできます。肌の弾力は老化によって弱くなっていきますが、肌を老化させる大きな原因となるのは紫外線です。皮膚の繊維組織は新たに体内で作られますが、紫外線はその働きも妨げます。

肌の老化の80%以上は日光に当たることで起こる「光老化」によるものと考えられており、肌にとっては年齢よりも日光に当たる時間が問題となります。

また、乾燥によるシワもあります。乾燥によるシワは、目尻や目の下、口元などによく見られ、乾燥しがちな冬や、風が強い日などに多くなります。しかし、くり返しシワを作ってしまうと元に戻らなくなってしまうので、気付いたときの早めのケアがとても大切です。

また、眉間にシワを寄せるクセのある人は眉間にシワができたり、上目づかいをしがちな人は額にシワができたりと、表情のクセがシワになることもあります。しかし、根本的には皮膚が乾燥することで、肌の表面が水分不足になると、小さなシワがたくさんできるのです。

シワが気になる時のセルフケア

1.紫外線対策をする

肌に大きなダメージを与え、シワのほか、シミ、たるみの原因となる紫外線を避けることが大切です。紫外線を浴びたかどうかで肌年齢が違ってきます。日焼け止めや、日傘などを活用しましょう。


2.保湿する

乾燥がもとで起こっている小ジワは、保湿をしっかり行うことで改善します。シワが深くなってしまうとなかなかもとにはもどらないので、すぐにケアすることが重要です。朝晩だけでなく、昼も乳液などで保湿しましょう。化粧の上からでも構いません。化粧水などをスプレーする人もいますが、そのままでは水分が蒸発し、また乾燥してしまいます。水分を与えたら、上から油分でふたをするように、乳液などを塗ってください。

肌にハリがない

このような症状がないかチェック!
・なんだか頬がたるんできた
・皮膚を押してもあまり弾力がない
・目尻が下がったような気がする
・顔についた枕などのあとがなかなか消えない

肌にハリをもたせているのは、表皮の下にある真皮の部分。真皮にはコラーゲンなどの繊維が網の目のように重なりあっていて弾力があり、表皮をバネのように支えています。古くなった繊維はもろくなるので、新しく作られると入れかわっていきます。それが紫外線や加齢によって、線維が壊されて、繊維を生みだす力が弱まってしまうと、表皮を支えている網の目がゆるんだり切れたりして弾力が失われ、肌のハリもなくなってしまうのです。

また、女性ホルモンの分泌も影響します。女性ホルモンの卵胞ホルモン(エストロゲン)には、コラーゲンをつくり出す細胞を活性化させる働きがあります。そのため、卵胞ホルモンの分泌が少なくなると、コラーゲンも減少してしまいます。

更年期になると、急に肌のたるみが目立ちはじめるのはこのためです。若くても、ストレスなどで卵巣の働きが衰えれば、同じように肌に影響を与えてしまいます。筆者も最近、お化粧のノリが気になり始めました。朝起きた時、シーツの跡がくっきりと顔についていると、朝から凹んでしまいますね。

肌のハリが気になる時のセルフケア

タンパク質・コラーゲン・ビタミンC等、肌によい食べ物を摂る

肌を支えるコラーゲンは、体のあちこちで働く大切なタンパク質。とりわけ、動物や魚の皮、骨などに多く含まれています。コラーゲンを含む食品を食べても、そのコラーゲンがそのまま肌を支える組織となるわけではありませんが、分解され、体内でコラーゲンを生成する原料になるといわれています。コラーゲンとしては、手羽先、鶏皮、豚足、魚のアラが多く含むとされます。体内で、コラーゲンを作りだすには、ビタミンCの働きが必要です。コラーゲンと一緒に、緑黄色野菜や果物など、ビタミンCを多く含んだ食品もしっかり摂りましょう。体内にためておけないビタミンCは、1日で、こまめにとることが、ポイントです。

肌がくすむ

このような症状がないかチェック!
・化粧をしても肌色がきれいに見えない
・顔色がどうもすぐれない
・肌が黒ずんで見える
・肌にツヤがなく元気に見えない
・肌がくすむ

血流の悪さが肌の色に影響する

ほんのり赤みのさした肌はイキイキと健康的に見えます。逆に、くすんで見える肌は、赤みが弱く、黄みが強くなっています。冷えや運動不足などが誘因となって、血液循環がうまくいかなくなると、顔の毛細血管も血行不良になってしまします。そうすると、肌の色から赤みが少なくなって、明るさがなくなってしまうのです。

皮膚は新陳代謝(ターンオーバー)によって、一定のサイクルで新しく生まれかわっています。ですが、血液によって運ばれる栄養や酸素が、血行不良で肌の細胞に十分に運ばれなくなると、その代謝が乱れてしまいます。その結果、古い角質がたまって厚くなり、肌に透明感やツヤがなくなるなどします。そのため、肌の色が沈み、くすんでしまうのです。

肌のくすみが気になる時のセルフケア

1.血流をよくする工夫をしましょう

肌のくすみは血行不良や肌の新陳代謝の乱れが原因なので、パックをしたりしても、効果はなかなかありません。体を動かす習慣をつけるなど、血流をよくする工夫を考えましょう。また、代謝が悪くする要因として、冷えや運動不足、睡眠不足、ストレスなどが挙げられます。ご自身に思い当たるそれらの原因を除いていきましょう。


2.ビタミンE、ビタミンAを摂取する

栄養はバランスよくとることが基本ですが、なかでも血行をよくする働きのあるビタミンE、肌の代謝を促すビタミンAは、ニンジン、モロヘイヤなどの緑黄色野菜やレバーに多く含まれています。

※ビタミンAの成分のレチノールは、妊娠中の過剰摂取で胎児に異常が起こることがわかっています。

髪の毛のボリュームがなくなった

このような症状がないかチェック!
・髪のボリュームが減った・抜け毛が多い
・セットしても髪がペチャンとしてしまう
・髪を洗うたびたくさんの毛が抜ける
・髪が細くなってハリがない

女性ホルモンの卵胞ホルモン(エストロゲン)は髪の発達にかかわる働きもしています。そのため、女性ホルモンのバランスが乱れると、髪にも影響があらわれます。出産後に髪が大量に抜けたりすることがあるのはそのためです。

ストレスや生活習慣も抜け毛の原因になります。髪の根元には、髪に栄養を送る毛乳頭という部分があり、毛細血管がそこまで栄養を運んでいきます。それが、ストレスや睡眠不足などで血行が悪くなると毛乳頭まで栄養が届きづらくなり、その結果髪が抜けてしまうことになります。強い精神的なストレスを受けることや、髪に負担をかけすぎることも影響します。

また、いつも同じように髪を束ね、一定方向に髪を引っ張り続けることが髪の根元に負担となり、抜け毛を招くこともあります。カラーリングやパーマのかけすぎ、ドライヤーの強い熱なども髪のトラブルを引き起こします

髪のボリュームが気になる時のセルフケア

1.生活習慣を整える

髪に負担をかけないためにも、規則正しい生活をめざしましょう。睡眠をきちんととることも大切です。栄養バランスにも配慮していきましょう。血流をよくするには体を動かすことが重要。ウオーキングや全身のストレッチも有効ですが、顔の血流をよくするためには、顔の筋肉を動かすこともおすすめです。また、顔に直接つながる首や頭皮の血行をよくするのも効果的。首を回して緊張をほぐしたり、頭を両手でつかむようにして首筋から頭皮をマッサージしましょう。


2.ヘアケアをしっかりと行いましょう

肌のためにスキンケアが重要なように、髪を美しく保つにはヘアケアが重要。皮脂が毛穴をふさいでしまい、それが髪の成長をさまたげていることもあります。頭皮が健康でないと健康な髪は生まれません。頭皮の血行をよくするための頭皮マッサージも効果的です。また、シャンプーが頭皮にあわずに炎症を起こしていることもあります。化粧品を選ぶように、自分にあった製品を見つけましょう

無理なダイエットに注意!

美容を考えるうえで注意してほしいのが、無理なダイエットです。無理なダイエットは、女性ホルモンのバランスを乱す大きな原因となり、かえって美と健康を損なう場合があるので注意が必要です。

急激なダイエットは無排卵を招く
無理なダイエットで急激に体重を落とすと、月経が来なくなる場合があります。これは「体重減少性無月経」と言って、若い女性にとても増えています。食事制限をして摂取カロリーが極端に減ると、限られたエネルギーは、生殖機能には使われずに、生命維持のために重要な心臓や呼吸などに優先的に回されます。つまり女性ホルモンの分泌が抑制されて排卵が起きなくなってしまうのです。
体重減少性無月経の状態が3か月以上続くと、自力で排卵できるように戻すことが難しくなるケースもあります。ダイエットによって月経が止まってしまったときは、すぐにダイエットを中止し、それでも月経が再開しない場合は、早めに婦人科を受診しましょう。

そのほかにもこのようなトラブルが起こる可能性があります。

●肌荒れ

→栄養不足から代謝が悪くなってニキビができたり、顔色がくすんだり、肌にもさまざまなトラブルが。

●貧血

→鉄分不足による貧血がすすむと頭痛や動悸など、さまざまな不快症状も。

●骨粗鬆症

→卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が減ると、骨粗鬆症になるリスクとなります。

●便秘

→食物繊維や、食物から摂取する水分が減って便秘がちになります。

まとめ

肌の状態が、悪いと気分まで、憂うつになりがちです。美しさをキープしさらに「美しくなって欲しい」と思います。スキントラブルが生じる要因を理解して、トラブルを解消していきましょう。

この記事の著者

岩崎有子(いわさき ゆうこ)

看護師・保健師・公認心理師
ココロト オンラインカウンセラー
ココロト メールカウンセラー

群馬県立福祉大学校保健学科および放送大学教養学部卒業。武蔵野大学大学院修士課程 人間学専攻在学中。旧与野市役所、埼玉県大宮保健所勤務を経て、さいたま市の保健師として18年勤務。現在は看護師添削指導員、地域活動支援センター、就労移行支援事業所、就労継続支援、放課後等デイサービス、NPO活動など様々なフィールドで活動を行う。専門は障害福祉、小児精神保健、障害者の性。