不眠・イライラ・不安・気分が落ち込む ~心身の不調の原因と対処法~

皆さん、こんにちは。保健師・公認心理師の岩崎有子です。6回シリーズで連載中のコラム「私の体と心を知ってもっと、キレイになろう」です。ご自身の体と心を理解して、「もっと私らしく」になっていただければ幸いです。

第5回のテーマは不眠・イライラ・不安・気分が落ち込む時の原因と対処について取り上げます。職場の人間関係や、ママ友との関係、オーバーワーク、家事、育児等、日々のストレスにさらされている女性の心。疲れ切った、あなたのココロを癒しましょう。あなたに合ったセルフケアを見つけてください。

よく眠れない

このような症状がないかチェック!
・布団に入っても、なかなか寝つけない
・夜中に目が覚めて、そのあと眠れなくなる
・夜明け前に目が覚めてしまう
・眠りが浅くて、よく眠れた感じがしない

夜眠れずに、朝をむかえるのは辛いものです。体は疲れているのに眠れない、翌日スケジュ-ルがつまっているのに眠れない。早く眠ろうとあせって、余計に眠れなくなることがありませんか。

不眠の原因には様々なものがありますが、まずは多忙による疲労ストレス生活リズムの乱れがないかチェックしましょう。特に働き盛りの年代の女性は仕事や家事などに追われ、自然な睡眠のリズムが乱れて睡眠の質も悪くなりがちです。

疲れがたまると自律神経のバランスがくずれ、交感神経(活動しているときに働く神経)が副交感神経(リラックスするときに働く神経)にうまく切り替わらなくなります。つまり常に体が活動状態になって、リラックスできずに眠りに入りにくくなるわけです。

女性ホルモンの影響から不眠になることもあります。これは月経前に急激に増える黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響です。また女性ホルモンと自律神経は互いに影響しあっているため、女性ホルモンの乱れが自律神経のバランスを崩し、それが原因で不眠症状が現れることもあります。40代ごろからは卵胞ホルモン(エストロゲン)が減ってくるため、その影響で不眠を訴える女性も見られます。

通常、不眠というと、2、3日程度「眠れない」ということは誰にでもあります。しかし、それ以上、続く場合は不眠外来のある病院を受診して、相談するとよいでしょう。

眠れないときのセルフケア

38~40℃くらいのぬるめのお湯にゆっくりとつかる半身浴は、副交感神経を刺激するので、心身ともにリラックス効果があります。心臓をお湯につけると負担がかかるので、みぞおちぐらいまでつかるようにし、5~30分程度入るようにします(ただし皮膚にトラブルがある人は、お湯に長時間つかるとかゆみが出て、かえって眠れなくなります。

睡眠のタイミングは、お風呂から出て、身体が温まっているときではなく、体温が低下してくると、眠気が出てきます。そのタイミングで、上手に寝付くことがベストです。スマートフォンを深夜まで使いすぎると、不眠の原因になることもあります。

イライラする

このような症状がないかチェック!
・月経が近くなるとイライラする
・気づくといつもイライラしている
・更年期になってイライラすることが増えた
・ちょっとしたことでイライラして腹が立つ

頑張り過ぎの「ストレス」に要注意しましょう。仕事や家事、子育てなどを、つい頑張りすぎてしまう、疲れをため込んでいませんか?体が疲れているときは、心も疲れているもの。イライラするのはストレスがたまってきたサインです。ストレスは自律神経の調節を月経不順や無月経などの婦人科のトラブル、自律神経失調症やうつ病などの心のトラブルを引き起こします。

忙しくて時間がとれないと決めつけずに、イライラしている自分に気づいたら、リフレッシュできる時間を意識的に作りましょう。自分のために楽しめる時間がもてることは、ストレス解消になってイライラも減ってくるはずです。

PMS(月経前緊張症)によるイライラ

女性ホルモンの影響によるイライラは、排卵後に黄体ホルモン(プロゲステロン)が急増することが原因です。完璧主義、几帳面、負けず嫌い、そんな女性ほど症状が強く出る傾向があります。イライラが強いときには、症状の強さによって、足りなくなったホルモンを摂取するホルモン補充療法(HRT)などを行うことがありますので、婦人科で相談してみましょう。

イライラするときのセルフケア

アロマでリフレッシュを提案します。まずは、自分の好きな香りを試してみましょう。嗅覚の神経は脳神経につながっています。香りは精神的な疲労に効果があると言われています。アロマオイルを含ませたハンカチをバッグに入れて持ち歩けば、外出先でイライラしたときも、さっととり出して、好きな香りで気分をリフレッシュすることができます。アロマにはそれぞれ症状に対しての効能がありますが、精神的疲労の場合は、自分の好きな香りでリラックスできることが一番です。

不安になる

このような症状がないかチェック!
・理由もなく不安になることがある
・不安になって気持ちが落ち込む
・不安で、いてもたってもいられない
・急に不安におそわれる

誰でも不安感はあります。不安でたまらくなることも、多かれ少なかれ誰にでも起こりうることです。現代のコロナ禍では、ストレス状態が続いています。このような理由からもストレスによる不安感が生じやすくなっています。

強い不安がいつまでも続くときは、全般性不安障害という病気が原因となって表れている不安症状のことがあります。全般性不安障害は日常のストレスが原因で発症することもあります。集中力の低下やイライラ、落ち着きがないなどの精神的症状と、頭痛や肩こり、動悸、めまいなど体の症状があらわれます。

体の不調があって、内科や婦人科に受診しても原因が明らかにならない場合には心療内科を受診しましょう。更年期にみられる不安感には、子どもの独立によって生きがいを失った喪失感、自分の体力の衰え、夫婦関係、これから先の人生への不安など、さまざまな要因があります。そこに女性ホルモンの乱れが加わり、精神的にも肉体的にも不調が現れます。不安感がどんどん強くなり、うつ状態になる女性も少なくありません。

不安になったときのセルフケア

何も考えない時間を作ることが大切です。不安が募るときは、ウォーキングやジョギング、ストレッチをするなど、体を適度に動かしてリフレッシュを図ることが大切です。好きな曲や心を癒してくれる音楽を聴くのもいいと思います。一人で、自宅カラオケで大きな声で歌うなどもストレス解消になります(筆者もスマホアプリでしています)。

気分が落ち込む

このような症状がないかチェック!
・今まで普通にできていたことが急にできなくなった
・気力がなく仕事に行くことができない
・ささいなことで泣いてしまう
・今まで、楽しいと感じられたことが楽しいと感じられない
・朝起きられない
・食欲がない
・感情の起伏が激しい

気分が落ち込む原因として、うつが考えられます。人間関係や恋愛問題、家族の問題など、いくつかの問題が複合して生じる場合もあります。脳内の神経伝達物質セロトニンやアドレナリンの減少が関係しているとも言われています。症状の出方にもいろいろなケースがありますが、気持ちの落ち込みが強くなるのが特徴的です。正常範囲の落ち込みと、うつによる落ち込みの見分けは難しいところですが、2週間以上続く気分の落ちこみは、精神科や心療内科を受診して相談するとよいでしょう。

気分が落ち込んだときのセルフケア

栄養バランスのとれた食事を摂り、しっかりと休むことが大事です。スケジュールもあまり詰め込みすぎないようにしましょう。好きなことでリフレッシュするなど、ストレス解消法を試してみるのもよいでしょう。一人で抱え込まず、誰かに相談をすることも大事なポイントです。

まとめ

今回は女性の心身の不調について考えてみました。外出も厳しい状況で、ストレスも高くなりがち、仕事や、家事、育児のストレスも大きいと思います。ご自身にあったストレス対処法を身につけていただきたいと思います。

この記事の著者

岩崎有子(いわさき ゆうこ)

看護師・保健師・公認心理師
ココロト オンラインカウンセラー
ココロト メールカウンセラー

群馬県立福祉大学校保健学科および放送大学教養学部卒業。武蔵野大学大学院修士課程 人間学専攻在学中。旧与野市役所、埼玉県大宮保健所勤務を経て、さいたま市の保健師として18年勤務。現在は看護師添削指導員、地域活動支援センター、就労移行支援事業所、就労継続支援、放課後等デイサービス、NPO活動など様々なフィールドで活動を行う。専門は障害福祉、小児精神保健、障害者の性。