カフェイン依存とは?【依存とこころの関係①】

皆さん、こんにちは。公認心理師の北村ともきです。

今回から数回にわたり、「依存とこころの関係」についての連載をしていきます。第1回となる本稿では、カフェイン依存について解説します。

著者は一時期、カフェインが多いとされるコーヒーを毎日飲んだり、長時間車を運転する時にはエナジードリンクを飲んだりしていました。しかし、著者がカフェインに少し影響されやすい体質があるように感じたため、今はコーヒーやエナジードリンクを摂るのは休日だけにしました。その結果、身体が少し楽になりました。

人の性格がそれぞれ違うように、体質や特性もそれぞれ違います。特に毎日摂取しているものの中には実は自分の体質と合ってない物もあるかもしれません。普段、カフェインを多く取っている方は、ぜひ本稿を読んでいただければと思います。

カフェイン依存とは

皆さんはコーヒーやエナジードリンク、緑茶等をよく飲みますか?また頭痛薬や眠気覚ましの薬を服用されている方もいるのではないでしょうか。ここに挙げたものには共通点があります。それは、カフェインが含まれていることです。

よく知られていることとして、カフェインには眠気を覚ます効果があります。普段は飲まないけど、車の運転の時だけ飲むという方や毎朝眠気をすっきりさせるために飲むという方も少なくないと思います。私も車の運転時や、やるべき作業が多くある時等、眠気を覚ますためにコーヒーやエナジードリンクをよく飲んでいた時期がありました。他にも、カフェインには頭痛に有効性があるとされています。市販の頭痛薬や解熱鎮静剤にもカフェインが含まれていて、成分表を見てみると「無水カフェイン50mg」のような表記がされています。


このように、カフェインには生活を助けてくれるような効果があるのですが、実は海外ではこのカフェインを過剰に摂取することが問題になっていたこともあります。それがカフェイン依存です。カフェインはその性質から摂取量が徐々に増えていったり、一度に多量摂取してしまったり、カフェインという物質に依存することがあります。

米国精神医学会が作成したDSM-5という診断基準でも「カフェイン使用障害」の分類に「カフェイン中毒」があります。その基準として、「最近のカフェインの摂取量が250mgを超えること」や「落ち着きのなさや不眠、胃腸の不調等の症状があること」とされています。また国内外において、カフェイン中毒とみられる方が多量のカフェインを1度に摂取したことにより、亡くなられた例も報告されています。

カフェインとこころの関係

カフェインはこころに様々な影響を及ぼすことが知られています。良い部分としては、カフェインを摂取することで集中力が高まることが知られています。一時的に集中を高めたい時、勉強やスポーツを行う時等は良いかもしれません。

あまり良くない部分としては、不安や緊張が高まりやすくなることが知られています。仕事に行く前や学校に行く前にコーヒーやエナジードリンクを飲む方もおられると思いますが、これによって不安が強くなっていたり、緊張感が増したりしていることもあるかもしれません。特に不安になりやすい方や、職場や学校のことで悩んでいる方、新しい環境にまだ慣れていない方等はカフェインに関する習慣を見直してみると良いかもしれません。

海外のカフェイン事情

カフェインは日本国内ではあまり話題になっていませんが、海外ではその依存性やデメリットが問題視され、多くの調査研究がされています。特にカフェイン飲料とお酒を同時に飲むことによる危険性が指摘されています。

実はカフェインにはアルコールによる酔いを遅らせる効果があり、同時に摂取することで普段より酔いにくさを一定時間感じられるそうです。ただし、これは酔いを遅らせるだけであり、後からその酔いが一気にきます。そのため、アルコール摂取量の増加による嘔吐や酩酊状態につながることが指摘されています。エナジードリンクとお酒を混ぜたドリンクが流行した際にも海外では問題視されていました。日本でもそのようなドリンクを置いている店があったり、自分で好きなエナジードリンクとお酒を混ぜて飲む習慣のある方もいますが、飲み方には気を付ける必要があります。

適切なカフェインの量について

では、カフェインはどの程度であれば摂取しても問題ないのでしょうか。推奨されている基準は国によって異なりますが、アメリカやカナダでは健康な成人であれば1日400mgを上限とすることが推奨されています。また不眠や神経過敏、悪心(気分の悪さ、吐き気)等の心身への影響は1日に250mg以上の摂取で起こる可能性があるとされています。つまり、健康な人であれば1日に400mg以内であれば問題なく、カフェインによる影響を受けやすい人であっても250mg以内であれば問題はないようです。(ただし、妊娠中の方や13歳未満の子供の場合、さらに少ない摂取量が推奨されています。)

自分の摂取しているカフェインの量を推測してみよう

ご自身が1日に摂取しているカフェインの量を計算してみるとよいかもしれません。カフェインの含有量は以下の通りです。

1日にコーヒー3杯程度であれば問題ありませんが、それに加え、頭痛薬を日頃からよく飲む方やエナジードリンクが好きな方は少し減らす必要があるかもしれません。

上記の他にも、コーラやチョコレート、ココア等にも含まれています。カフェインの含有量はその製品によって異なります。特にエナジードリンクの場合、商品によっては1日の適切な量を簡単に超えてしまう物もあります。飲んだり、服用したりする前に製品の成分表を確認してみることが大切です。

どうしても眠気を覚ましたいとき

コーヒーやエナジードリンクを飲む目的として多くの方が挙げられるのが眠気覚ましだと思われます。仕事中や勉強中等、「眠気に耐えられないけど、眠るわけにはいかない!」といったこともあると思います。カフェインを摂取する以外にも眠気を覚ます方法として以下のようなものがあります。

  • 姿勢を変えてみる
  • 作業する場所、環境を変えてみる
  • 休憩や仮眠をとる
  • 自分の好きな香りをかぐ
  • ツボを押す 等

車の運転中、高速道路を長時間走っていると、眠気に襲われることはないでしょうか。これは「高速道路催眠」といわれます。このように、人は同じものを見続けたり、同じ姿勢を取り続けると、催眠状態に陥ってしまうことがあります。運転中以外でも、同じことを繰り返す作業やあまり変化のない活動であれば起きることが考えられます。そのような場合には、何か変化を起こすことであったり、自身に刺激を与えることでその状態から脱出できるので、試してみるとよいかもしれません。もちろん、毎日しっかりと睡眠時間をとることが一番大事なことですが、それがどうしてもできない時はカフェインを摂る以外に上の方法もぜひ試してみてください。

まとめ

カフェインの摂取にはメリットとデメリットがあります。眠気を無くしたい時や忙しい時には必要な場面もあると思います。コーヒーやエナジードリンクが好きな方はそれが生活の中の楽しみでもあると思います。今回はカフェインの危険性等についてお話ししましたが、自分の好きな物・好きな時間はとても大切です。大事なことは自身の体質や特性を知ることとそれらに合わないような過剰な量は摂らないことです。

著者も甘い物とコーヒーの組み合わせがたまらなく好きです。食後のコーヒーも落ち着きますし、昼間の眠気もすっきりしますよね。カフェインを適度に楽しんでいきましょう。

著者プロフィール

北村ともき

公認心理師。心理系大学院卒業後から現在まで、精神科・心療内科にて心理検査やカウンセリングを担当。大人の発達障害や対人不安、依存症、HSP等、人によって様々な症状や特性、生きづらさについて関心を持ち、日々研鑽に励んでいる。

まだまだ学ぶことも多いですが、コラム・カウンセリング共に、精いっぱい取り組みます。よろしくお願いいたします。