セルフモニタリングのやり方【ノート1冊で認知行動療法】
ペンとノートでセルフモニタリング
前回のコラムでは、認知行動療法についての定義と、認知行動療法をはじめるにはストレスに気づき、外在化をすることが大事であることをお伝えしました。
認知行動療法とは ~分かりやすく解説~
そうは言っても、難しいそうだなと思われる方も少なくないかと思います。
そこで今回は簡単なワークを通して、認知行動療法のセルフモニタリングという技法を紹介します。このワークをすることで、あなたの思考の「クセ」に気づけるようになるでしょう。
■必要なもの
・ノート(または紙でもOK)
・ペン
このワークは、ひとりでゆっくりできる時間に取り組んでください。自分の部屋の中、カフェの中、とにかくゆっくり落ち着いた環境に移動します。
ウォーミングアップ
まずはウォーミングアップ。
ゆっくり深呼吸を3回して、気持ちを落ち着かせます。
好きなコーヒーを飲みながらでも、好きな紅茶を飲みながらでも良いでしょう。
STEP1:モヤモヤした出来事を1つ選んで書く
気持ちを落ち着かせたら、ノートや紙を準備してください。
最初に、あなたがモヤモヤしたこと、怒りを感じたこと、ストレスを感じたことなど、心の中で消化不良になっている具体的な出来事を思い浮かべてください。
思い浮かびましたか?
人によってはたくさんありすぎるという人もいるかもしれません。
ここでは、まず「ひとつ」の具体的な出来事を選んでください。
例えば、
仕事で、上司が急に残業を頼んできた。
という出来事があったとします。
その出来事をもう少し具体化して、ノートに書いてください。
先ほどの例であれば、下記のように書き出します。
上司が終業時刻ギリギリで急な仕事を頼んできて残業を頼まれた。でも、今日は早く買って撮りためたテレビドラマを観ようと考えていた。
STEP2:その場で感じたことを書く
書き出せたら、次は、ストレスを感じる出来事があった時、その場であなたがパッと感じたことを書いていきます。殴り書きのように、思いつくまま書き出していくと良いでしょう。
先ほどの例で言えば、以下のように書いていきます。
「終業ギリギリのタイミングで言わないでよ…」
「この上司空気読めないな」
「今日は久しぶりに定時に上がって家でゆっくりしようと思ったのに…」
書き果てるまで、出し尽くすまで、書き続けてください。
STEP3:その時感じた「感情」や「気分」を書く
次は、あなたがその時感じた「感情」や「気分」を書き出していきます。
例えば、以下のような感じで書きます。
「嫌だなぁ」
「うざいな」
「ムカつく」
「がっかりした」
書き果てるまで、出し尽くすまで、書き続けてください。
STEP4:これまで書いたものをながめて、気づいたことを書く
ある程度書き出せたら、これまで書き出したものを眺めてみてください。
眺めてみて、色々と思うことがあるでしょう。
例えば、
「あぁ、自分はこんなことでモヤモヤしていたんだな」
「あぁ、自分は上司に対して怒っていたんだな」
「あぁ、自分は、上司に対してではなくて撮りためたドラマが観れなくなることが嫌だったんだな」
という具合に。
その思うことを、書き出してみてください。
この作業をしてみると、その時は意識していなかったけれど、無意識のうちにあなたが感じていたことに気づくことがあります。このように、自分自身の考えたことや気持ちを自分で見つめることをセルフモニタリングと言います。
私たちが無意識にしてしまう思考のクセは、自分では気づいていないことが多いものです。セルフモニタリングは、そのような気づきにくい思考のクセに気づきを促してくれる技法です。
皆さんもぜひ、自分の思考のクセに気づくためにも、このワークをやってみてはいかがでしょうか。