気になる人からメッセージが返ってこなくなった【女性のための恋愛相談室】

皆さん、はじめまして。公認心理師・臨床心理士の津金です。

著者は心理士としての業務を行う傍ら、恋愛系オープンチャットと呼ばれる場で女性向けの恋愛相談にも乗っています。オープンチャットとは、年齢や性別などの制限がなく、各チャットのお題に沿って自由にメッセージを発信している場で、例としては、ココロトの掲示板やLINEオープンチャットなどがあります。

恋愛系オープンチャットでの相談内容は、付き合う前の駆け引きやアプローチの仕方、浮気、ケンカ、別れなど多岐にわたります。本連載では、このような恋愛の悩みでよく見かける困りごとを架空の事例にして紹介し、どのような対処ができるかを考えていきたいと思います。

今回のテーマは「気になる人からメッセージが返ってこなくなった」時のアプローチについて取り上げます。

事例:気になる人からメッセージが返ってこなくなった

はるか(女性・27歳)

好きな人ができました。私は今アプリで婚活をしています。彼と知り合ったのは某アプリです。1ヶ月前に知り合い、メッセージのやりとりをしています。

以前仲良くなった人の時はすぐLINEを交換しました。するとすぐ音信不通になったので、今回の人はまだLINE交換をしていません。

私は久々に好きだと思える人が出来たのですごくテンションが上がっています!出来ればすぐにLINE交換して電話したいと思っています。

彼は28歳で会社員。趣味が合い、食べ物の好みも近いです。職場も比較的近いので私から食事に誘いましたが、彼は忙しいのか2、3度断られました。

会う話をするまでは頻繁にメッセージが返ってきていました。最近メッセージの返事が減ってきたようにも思うし、ショックです。もし他の人ともメッセージのやりとりをしていたらどうしようと不安です。趣味のこともメッセージ送っていますが、前のように返事がきません。

年齢も年齢だし、周りが急に結婚し始めて焦ります。どうアプローチしたらいいのか困っています。

久しぶりにキュンとくる男性ができたのですね、おめでとうございます。彼から連絡が来ては嬉しくなり、「なんて答えればいいんだろう?」と胸が高鳴りますよね。そろそろ仕事が終わる頃かな、まだ連絡来てないなと、メッセンジャーの通知が気になり、ピコンと鳴ろうものなら秒速で確認。分かります。「早くLINEを交換したい」「電話したい」「一緒に食事へ行きたい」でも、そんなときこそ慌てず余裕を持った態度でコミュニケーションを取った方が得策です

好きという感情が湧いている状態は興奮状態と同様です。やっと分かり合える人ができたことが嬉しくて、自分のことだけで頭がいっぱいかもしれませんが、もしその彼との関係を長く続けたい、大切にしたいと願うなら、相手の反応をよく見ることが必要になってきます。

「追いかけたい」という男性心理

女性は「追いかけられたい」「愛情を与え合いたい」「メッセージのやりとりで共感を得たい」という傾向が強いと言われる一方、男性は「何かを追いかける方が好き」「自立に重きを置き、一定の距離を取りたい」「共感を重要視していない」傾向が強いと言われています。

・LINE交換をしたけど音信不通
・趣味についてメッセージを送っているけど返事がこない
・食事の誘いを断られたまま

今このような状態なのであれば、あなたが何度もアプローチを繰り返すためにあなたへの興味が薄れていたり、あなたがどんどん近づいてくるので距離を取りたいと思っていたり、自分の都合のいい時にでも会えばいいと思っている可能性があります。

好きだからこそ、たくさんアプローチしたい気持ちはよく分かりますが、彼が反応したい頻度を知る必要があります。脂こってりの料理を毎食出すと飽きてしまうように、少し物足りないくらい、もっと食べたいと思わせるくらいの控え目なアプローチが必要です。

男性が求める「癒してくれる存在」

それでは、どのようなアプローチをしたらよいのでしょうか。

ひと言で答えると、癒しです。

なぜ癒しが必要なのでしょうか?その疑問にお答えするためにも、20代後半の独身男性の心の声を聴いてみましょう。

ある男性の心の声

毎日働きづめでクタクタだ。家に帰ってビール飲みながら晩メシでも食べるか。それにしても、精一杯仕事しているのに誰にも感謝されないなぁ。社会の歯車感すご。はーーー息抜きしたい、癒されたい。可愛い女の子でも探すか(ぽちぽち)

「はーーー息抜きしたい、癒されたい」ここです。ここが大事です!

男性の癒しは主に下記の3つで構成されています。(身体の接触は今回除きます)

・自分の行動を認めてくれる(尊敬される)
・人の役に立っていることが実感できる
・仕事の緊張から解放される

あなたが男性から必要とされたいのであれば、この3要素を満たすことが必要です。それが、男性にとって「なくてはならない存在」になるということです。自分も癒されたいでしょうが、今は少しの我慢です。

その時に必要なマインドは「私のこと分かって欲しい・知って欲しい」ではなく、「彼にとって癒しの存在になる」ことです。まず、彼を癒す存在になる。そこから彼に興味をもってもらい、彼にとってなくてはならない大切な存在になり、「君を失いたくない!」と追いかけられる存在になる。この順番が大事です。

癒しの存在になる具体的な関わり方

それでは、これまでご説明した男性心理を踏まえ、具体的にどのような関わり方をしたらよいかをお伝えします。

①聴く

臨床心理学の世界では「傾聴(けいちょう)」と呼ばれる姿勢・テクニックがあります。簡単に言えば、「楽しい話はにこにこしながら(悲しい話は悲しい顔をしながら)」「彼の話に相づちを打ち」「なるほど!などリアクションをとりつつ」「興味津々感を出す」というものです。

このように丁寧に話を聞くと、様々なメリットがあります。

・彼から信頼されやすい
・彼の情報を収集できる
・彼の癒されたい(認められたい褒められたい)ポイントを把握できる
・恋愛に対するスタンスを把握できる

話を聴いてくれる人はどんな時代でも性別関係なく人からモテますなぜなら人は話を聴いてもらえると、「自分のことを大切に扱ってくれている」と感じるからです。あなたは彼のことを大切にしたいですよね?ならば、まずは傾聴です。

そして、彼が何に興味を持っていて、何をしている時が楽しいのか。どんな点にプライドを持っていて、何はされたくないのか。彼の尊敬されたい・癒されたい気持ちをツンツンできるポイントを把握します。

「そもそも何を聞いていいか分からないのでしゃべり倒してしまう」そんな人は、マッチングアプリの趣味嗜好を参考にしてください。音楽や食べ物など、何かしらのヒントがあるはずです。彼の好きなことで、上記を参考にしながら話を広げてください。はるかさんのようにメッセージが続くということは、はるかさんに対し何かしら興味を持ってくれています。

もし趣味嗜好を聞いても話が盛り上がらなかった or 食事に誘われなかった場合、「聴く力の不足」か「追いかけすぎ」か、残念ながら「あなたに興味がない」ことが大半でしょう。

②褒める

女性が「かわいいね、きれいだね、美しいね」と褒められたいように、男性も自分の行っていることや知識を受け入れて欲しい、褒められたいと思っています

男性が好きなものの話をしている時、無邪気に見えませんか?照れくさそうだったり、早口だったり、目がキラキラしていたり、ニコニコしていたり。それをうんうんと聞きながら(時には質問して話を膨らませながら)、「詳しいね!」「知らなかった!」「すごく勉強になる♪」と話を受けとめて褒めるのです。

しかし、彼が好きなものと自分の好みがズレている場合もありますよね。例えば「自転車すごく楽しいよ(え、運動とかしたくないんだけど😑)」「格闘技観るのが最高(特に興味ない😥)」など。そんな時も、彼の趣味嗜好に全て合わせなければならないわけではありません。受けとめるだけ。これを心理学的に言うと、受容と言います。受けとめるとは、彼の主張を尊敬するということ。人から尊重されると誰でも嬉しいものです。

彼と話をするとき、受けとめたり褒めていましたか?知識量について張り合っていませんでしたか?つい自分の話をしたくなるかもしれませんが、ぐっと我慢して彼の話を引き出し、受け止めてみてください。

③頼みごとをする

私が仕事/プライベートで見てきた中ですが、男性は「人の役に立ちたい(そして感謝されたい・褒められたい)」と考える性質があるように思います。

彼が負担なく叶えられそうな小さなことをお願いしてみて、叶えてくれたら感謝する。断られたら「そっか♪」と軽やかに受け入れる(ここ重要です)。そうすることによって「この子のお願い事を叶えると感謝されるぞ」とインプットされ、色んなことを叶えてくれるようになります。

事例に対するアプローチ例

それでは、これまでご紹介した関わり方を踏まえ、冒頭で取り上げたはるかさんの事例でどのようなアプローチができるかを考えていきます。

はるかさんの場合、まず追いかけないことからスタートになります。

追いかけないというのは、メッセージを送る頻度を下げたり、いっそのこと全く送らなくすることです。その代わりに、自分の趣味を楽しむ時間にするとよいでしょう。

その上で彼から連絡が来たら、下記のようにアクションしてみましょう。

・彼の興味ありそうな内容を聴き、それに分かりやすく反応する
 「へー!そのお店すごく興味あります✨」
 「とっても良さそうなお店ですね、都合が合うなら行ってみたいです」と言ってみる(「行きましょう」ではないところがポイント)
・彼から誘ってくれたら「行きたかった店なので楽しみです」と嬉しさを表現する
・お店までの道中、「日陰歩きたい」などお願いをして、叶えてくれたら感謝する

彼からお誘いがあれば、空いてる日を小出しに伝えましょう。次週や、少し遠めの予定を伝えると良いでしょう。あなたが彼にとって大事な人であれば、日にちを合わせてくれるはずです。逆に日程を合わせてくれないということは、まだまだあなたにハマっているとは言えないでしょう。

慌ててすぐに返信するより、仕事が終わって帰宅した後に返信をしたり、自分の用事を終えてから返信するようにしましょう。絵文字は少なくて大丈夫です。むしろ少ない方がさらっとしていて良いです。

今回の事例のように、既に追いかけてしまっている場合、時間はかかるかもしれませんが試してみてくださいね。それでも駄目なら次です次。

最終目標は「お互いが相手に尽くすこと」

ここまで読むと、「それでは女性は男性に尽くせばいいの…?」と思う方もいるかもしれません。

答えはYESです。ただ、尽くすとは彼の要求をすべて呑むことではありません。私の考える「尽くす」は、彼が喜ぶことを理解し、行動すること。人は自分がされて嬉しいことを行動しがちですが、恋愛の場合は自分がしてもらって嬉しいことを行動するのではなく、彼がしてもらって嬉しいことを行動することが大切です。これが真の尽くすだと考えています。

私は、女性の幸せには「自立」が必要と思っています。自立とは、あなたはあなたの人生を楽しみながら(友達とカフェへ行ったり趣味に没頭したり)、人生の一部分として彼に関わるということです。そうすることで、彼と一定の距離が生まれ、依存心の低さから彼からも尊重され、追いかけてもらいやすくなるのです。あなたの全てのスケジュールを彼に合わせることは止めましょう。

お願い事をする時に自信なさげに提案すると「この子媚びてきてる?」と勘違いされ、雑に扱われる可能性が高まります。お願いをすることと媚びることは別です。どんなイケメンでもにっこり笑ってさらっと提案が大事です。

また、女性を自分の都合よく使う(=女性を尊重していない)男性も存在します。都合のいい女性のまま男性と居ると蔑ろにされたり、適当に扱われるようになります。こちらに興味を持たない人には連絡をしない、嫌なことは嫌と毅然とした態度を取る等、距離を取りましょう。

最終目標は「お互いが相手に尽くすこと」です。上記の関わり方がうまく回り始めば、将来あなたも尽くされるようになります。

セルフワーク

お付き合いしている彼、家族、友人、同僚など、誰かの話を聴いている時に「傾聴」「受容」の練習をしてみましょう♪

  • いつもより意識して頷いてみる(気持ちゆったりと)。
  • それでそれで?と相手の話を膨らませる、広げる。
  • 相手が苦労している話には「それは大変でしたね」、嬉しそうな話には「とっても素敵ですね」と相手の気持ちと同じような反応をしてみる。
  • 自分の価値観と違う話を聴いた時は、まずは相手が話し終えるまで待ってみる。すぐに否定したくなる気持ちを我慢。

恋愛はもちろん、営業職の人ならクライアントに、事務職なら円滑な社内のやり取りに役立つスキルですので、ぜひこの機会に身につけてみてくださいね。

まとめ

恋愛の選択肢は無限大にあり、その行動を選ぶのはあなたです。たくさん悩んで、時に休憩しながら「これでよかったんだ」と思える選択をしてください。なお、著者はココロトでもカウンセリングを受け付けています。「どうしてよいか分からない」「選択に迷う」そんな時はぜひお声がけいただければと思います。

本稿が恋愛に悩む方々の助けになれば幸いです。心から応援しています!

著者プロフィール

津金 由美子(つがね ゆみこ)

公認心理師・ 臨床心理士。心理系大学院卒業後、精神科・心療内科でのカウンセリング・リワーク(復職支援)、市役所での電話相談員、職業訓練校や各種セミナーの講師、就労移行支援等に携わる。業務では就職・就労、働き方についての相談業務をメインとする一方、個人向けの恋愛・結婚/婚活相談等も行っており、特に20~30代の女性からの相談を多く受けている。カウンセリングスタイルは相談者によって柔軟に対応し、認知行動療法やアドラー心理学、問題解決療法を得意とする。