~臭い・おりもの・ムダ毛・黒ずみ・白いカス~ デリケートゾーンのケア【女性のための保健体育】

みなさん、こんにちは。公認心理師・保健師の岩崎有子です。

誰にも聞けない。しかし知っておいて欲しい。そんな性の知識について、看護師で公認心理師である私が、徹底解説していきます。私は国立保健医療科学院思春期保健コースを修了し、業界でいわゆる「性の伝道師」と言われています。少しでも身近な話題をお届けしますので、宜しくお願いします。第3時限目はデリケートゾーンのケアについて解説します。

自分のアソコを見たことがありますか?

私は、そもそも皆さんが性器の名前を知っているのかと疑問に感じています。

女性の性器は外性器と内性器に分かれています。外性器は、大陰唇、小陰唇、処女膜、会陰、クリトリス、尿道口、膣口、バルトリン腺からなります。

内性器は、子宮体部、頚部、卵管、卵管采(らんかんさい)、卵巣、膣からなります。

さて、皆さんはご自身の陰部の『顔』を見たことがありますか?皆さんの中には、子どものに好奇心から、鏡で見たことがあるという人もいるでしょうし、いや、中には、「お医者さんごっこ」などで、友人同士で、見せ合ったという経験の人もいるかもしれませんね。大人になってからも、ときどきチェックするという人もいます。例えば、アンダーへアーをお手入れする方もいるので。

大人になって、初めて自身の性器を見た女性の中には、「こんなものかな?」と思う人もいれば、「ショック」を受けてしまう人もいます。

私たちの顔が異なるように、性器の形も100人いれば100通りです。しかし、セックスのときにパートナーに見せることがあるかもしれません。「気持ち悪いな」と感じているよりも、「自分の性器は可愛い」「きれいだな」と思えるように、お手入れをしていきましょう。

デリケートゾーンのケア

デリケートゾーンのお手入れを怠ると、臭いやムレの原因となります。パートナーとのセックスのときに、「臭いが・・・」「汚い」などと、言われたら台無しですよね。そうならないために、デリケートゾーンのケアについて見ていきましょう。

基本のケア

膣に関しては、デーデルライン桿菌という菌がいます。この菌による自浄作用があります。要するに、自然ときれいになる仕組みがありますので、そこはお手入れの必要はないです。逆に洗いすぎてしまうと、デーデルライン桿菌を殺菌し、自浄作用が働かなくなってしまいます。そうすると、カンジタ膣炎の原因になってしまったり、かゆみの原因となってしまうこともあります。

外陰部のお手入れのポイントとして、膣の周りに「恥垢(ちこう)」という白く固まった垢がたまりやすいです。しかし、お湯で洗い流すだけでは不十分ですから、デリケートゾーン専用のソープを泡立てて、「大陰唇」と「小陰唇」の間、クリトリス、肛門までを優しく手で洗いましょう。これだけでも十分ですが、必要な人はローションやクリームも出ています。ただし、敏感な部分ですから、かぶれたりしたら、すぐに使用をやめてください。

月経中や、おりものが出ているときのケア

月経中や、おりものが出ているときに気になる「陰部のヒリヒリ感」については、筆者もずっと悩んでいました。友人の看護師に相談して解消方法が見つかりました。オーガニックコットンのナプキンや、おりものシートです。コストが高いのが悩みですが、デリケートゾーンの不快感や嫌な気分から解放されます。

また、経血を受け止める生理用品として、経血カップがあります。先端をねじって膣内にセットするだけで、生理中のムレや臭いをブロックして、デリケートゾーンを衛生的に保つことができます。最長で12時間程度使用でき、カップ自体5年から10年持つため、ランニングコストが良いですね。

臭いのケア

汗をかくところは、デリケートゾーンだけではなく、わきの下や、足も同じ。清潔に保てていないと、細菌が原因で臭うこともあります。臭いは自分ではなかなか気が付かないのが困りものです。デリケートゾーンは先ほど書いた方法でお手入れしていただくことと同時に、特に夏は通気性の良い下着と吸湿性の良い素材を着用するとよいでしょう。

しかし、大きい下着は男性もゲンナリしてしまうかもしれませんね。そこはレースが付いているものや、貴女に合ったカラーを選んでみてはいかがでしょう。また、足や、わきの下もとても汗をかきます。今では、足用のソープもありますので、気になる方は試してみてください。

陰部のできもの

陰部にできものができてしまった。その一つとして、「毛嚢炎(もうのうえん)」というのがあります。抗生物質が有効とされます。筆者もなったことがあります。このときには、きちんと婦人科で診察を受けてください。もしかすると、性感染症のヘルペスやコンジローマもあるため、パートナーとのセックスは控えてください。できものができると、気になるところです。潰したくなりますが、自分で潰すのは、消毒もできないですし、抗生物質もないので、NGです。万が一潰れてしまった場合には、シャワーを浴びて、早めに受診をしましょう。

デリケートゾーンのムダ毛処理

デリケートゾーンのムダ毛処理は、一般的にはカミソリで剃るという方が多いと思います。しかし、傷がついてしまい、その部分から細菌が入ることもあります。また、毛抜きは炎症の原因となることもありますので避けた方がいいでしょう。

それでは「ボーボー」でよいのでしょうか?もし、パンティはみだし事件になっていたら…。デリケートゾーンのムダ毛は臭いの原因にもなりますし、「まったく何もしていないのか」とパートナーから、思われるかもしれません。好みの問題もありますが、「ツルツル丸見え状態」ですとドン引きする人もいるかもしれません。

デリケートゾーン専用のシェーバーがありますので、それでキレイに整えていくことがよろしいかと思います。

デリケートゾーンの黒ずみ

デリケートゾーンの黒ずみの原因はなんでしょうか。特に気になるのが、Iライン(大陰唇の部分)とOライン(肛門の周り)です。この部分がなぜ黒ずんでいるのかは、メラニン細胞が多い場所だからです。また、黒ずみは、女性ホルモンとも関連していて、妊娠すると乳首が黒くなることがよく知られています。黒ずみを感じる年代は、女性ホルモンが多く分泌される20代から30代です。高齢の女性のデリケートゾーンはピンクに戻るのです。

しかし、ホルモンとは別に摩擦が関係して、黒ずむこともあります。例えば、トイレットペーパーで、強くこすりすぎている。パンティによってこすられることもあります。対策として、シャワートイレの使用や、フィットするパンティ選びが大切になります。

まとめ

3時限目は「女性のエチケット」として、デリケートゾーンについてのお手入れ方法についてまとめてみました。見えないから「まあいいか」ではなく、「見えなくても美しく」ありたいものです。

余談ですが、私は看護師時代に救命救急に勤務をしていました。交通事故で運ばれて来る患者さんの下着は痛みが強い場合には、はさみで、切ることがあります。いつ、どこで、誰に見られるのかは、本当にわからないものです。「大人女子のエチケット」として、いつも清潔にしておくことを心がけましょう。

この記事の著者

岩崎有子(いわさき ゆうこ)

看護師・保健師・公認心理師
ココロト オンラインカウンセラー
ココロト メールカウンセラー

群馬県立福祉大学校保健学科および放送大学教養学部卒業。武蔵野大学大学院修士課程 人間学専攻在学中。旧与野市役所、埼玉県大宮保健所勤務を経て、さいたま市の保健師として18年勤務。現在は看護師添削指導員、地域活動支援センター、就労移行支援事業所、就労継続支援、放課後等デイサービス、NPO活動など様々なフィールドで活動を行う。専門は障害福祉、小児精神保健、障害者の性。