③職業・仕事を特定する(前編)「わたしの幸せをつくる転職活動」

皆さん、こんにちは。公認心理師/臨床心理士/キャリアコンサルタントの山本智代です。「わたしの幸せをつくる転職活動」をテーマに、効果的な転職活動の進め方について連載しています。

本連載では、キャリア・プランニング・プロセスという方法に則り転職活動を行うことを勧めており、前回(第2回)は、転職活動でまずやることとして、自分のリソース(自分の「働く」を支える要素)について、興味・能力・価値観の3点で職業経験を振り返り、自分の強みを明確にする方法をお伝えしました。

キャリア・プランニング・プロセス

  1. 意思決定の必要性の自覚・・・転職の必要性を判断
  2. 自己の再評価・・・職業経験の振り返り、興味・能力・価値観の見直し(前回)
  3. 職業・仕事の特定・・・職業・仕事の絞り込み
  4. 選択肢に関する情報収集・・・絞り込んだ職業・仕事の情報を様々な手法で集める
  5. 仮決定・・・ステップ3で絞り込んだ職業・仕事から1つの選択肢を選ぶ
  6. 教育・訓練・・・必要があれば、資格取得やスキル向上の教育・訓練を受ける
  7. 転職・異動・・・ステップ5で選択した職業・仕事への応募、応募書類の作成、面接

本稿は前回までの記事を読んでおくと理解が深まります。まだご覧になっていない方は下記のリンクからご覧ください。

仕事/就職・転職
①【転職のタイミング】今の仕事に疑問を感じたとき、あなたならどうする 「わたしの幸せをつくる転職活動」
仕事/就職・転職
②【自己の再評価】転職を決めたら、まずやること「わたしの幸せをつくる転職活動」

連載の第3回目である本稿と次回で、キャリア・プランニング・プロセスのステップ3「職業・仕事の特定」を見ていきます。

キャリア・プランニング・プロセス③職業・仕事の特定

キャリア・プランニング・プロセスの手順2「自己の再評価」で自分の強みを明らかにした後は、自分に合う職業や仕事を絞り込んでいきます(手順3「職業・仕事の特定」)。

キャリア・プランニング・プロセス(再掲)

  1. 意思決定の必要性の自覚・・・転職の必要性を判断
  2. 自己の再評価・・・職業経験の振り返り、興味・能力・価値観の見直し
  3. 職業・仕事の特定・・・職業・仕事の絞り込み
  4. 選択肢に関する情報収集・・・絞り込んだ職業・仕事の情報を様々な手法で集める
  5. 仮決定・・・ステップ3で絞り込んだ職業・仕事から1つの選択肢を選ぶ
  6. 教育・訓練・・・必要があれば、資格取得やスキル向上の教育・訓練を受ける
  7. 転職・異動・・・ステップ5で選択した職業・仕事への応募、応募書類の作成、面接

「職業・仕事の特定」を行うために有効なのが、「職業リスト」の作成です。職業リストの作成には様々な手法が考えられますが、下記の2つを作成することをお薦めします。

自分の強みを生かした職業リスト

自分の興味・能力・価値観など、自分の強みを基にした職業リスト 。

周囲の状況を考慮した職業リスト

現在の自分の能力との一致度や市場動向、自分を取り巻く環境を考慮した職業リスト。

まず「自分の強みを活かした職業リスト」自分のありたい姿や望みを明確にして、次に「周囲の状況を考慮した職業リスト」現実検討を行っていきます。このように、自分が持っている要素と自分以外にある要素を分けて考えることで、職業・仕事の特定がしやすくなります。

それではここから、「自分の強みを生かした職業リスト」の作成方法をお伝えしていきます。

職業リストの作成方法

「職種」と「業種」を知ろう

職業には、主に職種と業種という2つの観点があります。職種とは、実際に自分が行う仕事の役割(事務職、介護職、販売職、など)を言います。一方、業種とは、事業の種類(製造業、サービス業、情報通信業など)を言います。

まずは、一般的にどのような職種と業種があるか知っていきましょう。双方のイメージがつきにくい場合は、それぞれどのような種類があって、その中身はどのようなものかを知っていきましょう。

一般的な情報として、厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」(ホームページ | 職業情報提供サイト(日本版O-NET) (mhlw.go.jp))を参考にしてみるのもよいでしょう。

自分の強みを生かした職業リストを作る

それでは、あなたの強みを生かした職業リストを作っていきましょう。

本リストは自分の興味・能力・価値観を基に作成しますので、前回の記事「手順2:自己の再評価」を実施していない方は、先にそちらを読んでいただければと思います。

興味・能力・価値観から職種と業種をピックアップする

自分の興味・能力・価値観から思いうかぶ職種と業種をピックアップし、箇条書きにします。

■以下の質問に答えてみましょう。
・興味…あなたの興味に繋がる職種・業種は?
・能力…あなたの能力が発揮できる職種・業種は?
・価値観…あなたが大事にしたい考えと共通する職種・業種は?

どの質問から答えても構いません。「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」の情報などと照らし合わせて、思いうかぶ職業をピックアップしていきましょう。

この段階で重要なことは、自分に「できるか」「できないか」を決めることではなく、あくまで自分の興味・能力・価値観から職種と業種をピックアップすることです。職種や業種がよく分からないという理由でその職種・業種をリストから外してしまう方を見かけますが、分からないことを一歩調べる手間が自分の道を切り拓くことがあります。エネルギーのいることですが、様々なツールを活用したり、カウンセラーの力を借りたりしながら、ご自分の道を作っていきましょう。

STEP
1

ピックアップした職種・業種を評価する

職種と業種それぞれについて、興味・能力・価値観を3段階【◎とてもある/〇ある/△あまりない】で評価しましょう。業種については興味と価値観を評価しましょう。

下記は前回登場した医療事務の勤務経験があるDさんの例です。

STEP
2

なぜそのように評価したかを書く

評価が終わったら、その理由を書いてみましょう。

STEP
3

ピックアップした【職種】と【業種】を掛け合わせる

ピックアップした職種と業種を掛け合わせ、職業リストを完成させます。自分がイメージした職種をどの業種で役立てていきたいか、または関心のある業種でどの職種に携わっていきたいかを検討します。

STEP
4

ここまでが、自分の強みを生かした職業リストの作成方法です。

まとめ

就職活動のような見通しのつかない状況では不安や焦りが募る時が多くなると思います。不確定要素が大きい就職活動では、そのような気持ちが起きるのは自然なことです。そんなときこそ、本稿でご紹介した職業リストを作成したり、専門家に相談したり、具体的な行動に移し、同時に気持ちも整理していきましょう。

次回、「職業・仕事の特定」の後編では現実検討をするためのコツをお伝えします。その職種・職業に求められる能力を知ることで、「現在の自分の能力との一致度」「市場動向」「外的リソース(自分を取り巻く環境)」を整理し、現在の自分の位置で適性と思われる職種・業種を検討し、職業・仕事の特定を行います。

著者プロフィール

山本 智代(やまもと ちよ)

公認心理師・臨床心理士・キャリアコンサルタント
ココロト オンラインカウンセラー

教育系大学を卒業後、人材総合コンサルタント企業での人材育成・派遣事業、教育関連企業での進路セミナーの企画営業に携わった後、官公庁、ハローワークの採用・キャリア支援の勤務を経て心理系大学院へ進学。卒業後は、心理とキャリアに関する専門家として、行政機関での乳児・幼児・児童の発達・教育相談、ハローワークでのキャリア・心理カウンセリング、スクールカウンセラー等に従事。さらに、女性のキャリア、仕事と子育ての両立などをテーマにしたキャリアカウンセリングやセミナーに携わっている。